カイガラムシの種類まとめ!それぞれの天敵や生態は?

草木に被害を与える害虫。

その中でも、カイガラムシにスポットを当てて生態や天敵などを調べてみました。

カイガラムシって実はすごくたくさん種類があるんです。

植物によって付くカイガラムシがそれぞれ違います。

あなたの庭木、草花が被害を受けているのはどのカイガラムシかな?

対処方法も合わせて紹介しますね。

 

カイガラムシの種類・天敵・生態

カイガラムシ 害虫のイメージ

カイガラムシの種類は約300種類以上

半翅目で吸汁性。

カイガラをつけているもの、カイガラをつけないもの、ロウ物質に覆われているものなどがある。

カタカイガラムシ類

カシニセタマカイガラムシ

発生時期:年一回 6月中旬〜下旬(幼虫)

発生樹木:カシ、栗、クヌギ、ナラ、マテバシイ、カシワ等

形態:硬い半球形で黄褐色。長さ4㎝。スス病を併発する

防除方法:6月の幼虫の時に、スミチオン乳剤の1000倍液、カイガラムシエアゾールなどを散布。

冬、マシン油乳剤を60倍に薄めたものを散布する。

 

カメノコロウカイガラムシ

発生時期:年一回 6月〜7月(幼虫)

発生樹木:モチノキ、マサキ、月桂樹、モッコク、ツバキ、柑橘等。

形態:白~淡桃色のロウ状物質で覆われている。体長4㎜。

成虫になっても歩いて移動する。雌の成虫は越冬する。

防除方法:被害が少ない時はヘラなどで剥ぎ落とす。

多発した場合は、幼虫の発生初期(6月)にベニカスプレー、スミチオン乳剤やオルチオン乳剤を1000倍に薄めたものを10日おきに2〜3回散布する。違う薬剤を使うと効果が上がります。

12月〜1月頃にマシン油乳剤を落葉樹は15〜20倍、常緑樹は50〜80倍に薄めたものを散布する。

 

タマカタカイガラムシ

発生時期:年一回 5〜6月(幼虫)

発生樹木:梅、さくら、スモモ等。

形態:艶のある球形。雌の成虫は4〜5㎜。

防除方法:5月の幼虫発生時期に、カイガラムシエアゾール、ベニカスプレーやスミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを1〜2回散布する。

多発した時は、12月〜1月にマシン油乳剤を15〜20倍に薄めたものを散布すると、
越冬中の成虫に対して効果がある。

 

ツノロウカイガラムシ

発生時期:年一回 6〜7月(幼虫)

発生樹木:トウカエデ、モチノキ、マサキ、カキ、モッコク、サザンカ、他。

形態:カイガラはロウ状。体長6〜9㎜。色は淡灰白色〜淡桃色。形状は背面にツノ状の突起がある。

雌の成虫が越冬。

防除方法:被害が少ない時はヘラ状のもので削ぎ落とす。

多発した場合は、6月の幼虫発生時期にオルチオン乳剤の200倍に薄めたもの、スミチオン乳剤1000倍液を2〜3回散布する。間隔は10日おいて散布。違う薬剤を使うと効果が上がる。

カイガラムシエアゾールなどはそのまま使えて便利です。

天敵:ツノロウアカヤドリコバチ

 

ヒモワタカイガラムシ

発生時期:年一回 6月上旬〜6月中旬(幼虫)

発生樹木:ピラカンサス、ネムノキ、カエデ、ハギ、ヤナギ、サクラ。

形態:雌の成虫は淡黄色で楕円形。背面に暗褐色の斑点あり。

防除方法:見た目が白魚のような細長い卵のう(中には3000粒の卵を内蔵)を除去するか枝を切り取る。

多発した場合は、スミチオン乳剤などの1000倍に薄めたものを6月に1、2回散布。

 

モミジワタカイガラムシ

発生時期:年一回 5月下旬〜6月(幼虫)

発生樹木:カエデ、カシ、シイ、エノキ、トチノキ、ニレ、ナシ、ブドウ等。

形態:体長8〜11㎜。褐色で円形。

5月ごろ白い綿状の卵のうをつける。雌の成虫が越冬する。

防除方法:若い樹木には発生しない。老木に発生。

冬に幹のくぼみなどに群生するカイガラをヘラなどでこそぎ落とす。

 

ルビーロウカイガラムシ

発生時期:年一回 6月〜8月(幼虫)

発生樹木:モチノキ、ツバキ、サザンカ、月桂樹、モッコクなど200種類以上の樹木。

形態:赤褐色で丸みがある。主に枝に寄生する。

防除方法:被害が少ないうちは、ヘラなどでこそげ落とします。

被害が拡大した時には幼虫発生初期にオルチオン乳剤200倍、スミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを1〜2回散布します。

天敵:ルビーアカヤドリコバチ

殺虫剤

フサカイガラムシ類

フジツボカイガラムシ

発生時期:年一回 5〜9月(成虫) 5月(幼虫)

発生樹木:サンゴジュ、クスノキ、トウカエデ、カナメモチ、シャリンバイなど。

形態:体長4〜6㎜。褐色で半球形。フジツボに似ている。

幼虫で越冬。5月上旬に成熟産卵。

防除方法:ヘラなどで掻き落とす。

 

コナカイガラムシ類

オオワタコナカイガラムシ

発生時期:年一回 幼虫態で越冬し、3月下旬〜4月上旬に加害、5月上旬〜中旬ごろ(孵化幼虫の発生)

発生樹木:カキ、りんご、なし、エノキ、ケヤキ、青木、さくら、カエデなど。

形態:長さ3〜4㎜。雌の成虫はうすい白色のロウ物質に覆われている。

防除方法:冬の間に枝についた雄の白いマユをこそげ落とします。

5〜6月には枝についた卵のう(中には500〜1200粒の卵を内蔵)を摘み取り焼くなどします。

幼虫が多発した時には、アプロード水和剤、スミチオン乳剤などを薄めたものを2〜3回散布します。
薬は種類の違うものを順番に使うと効果が上がります。

 

マツコナカイガラムシ

発生時期:年一回 6月ごろ(幼虫)

発生樹木:クロマツ、アカマツ、ゴヨウマツ。

形態:円形で橙黄色。白色粉状のロウ物質で全体が覆われている。スス病を併発する。

防除方法:幼虫の発生期にスミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを散布する。

 

ツツジコナカイガラムシ

発生時期:成虫は5〜6月 6月(幼虫)

発生樹木:ツツジ。

形態:体長3〜3.5㎜で楕円形。葉裏に白く細長い卵のうを作る。

葉の間や付け根などで幼虫が越冬する。

防除方法:幼虫の発生する6月ごろにスミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを散布する。

 

フクロカイガラムシ類

ケヤキフクロカイガラムシ

発生時期:年一回 5月下旬〜6月中旬(幼虫)越冬場所は幹や枝の割れ目(成虫態)

発生樹木:ケヤキ。

形態:雌の成虫は体長3㎜で灰白色。枝が枯れるほどの被害は出ない。

防除方法:発生が少ない時には捕殺する。

多発した時には、スミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを2回ほど散布する。

 

サルスベリフクロカイガラムシ

発生時期:年二回〜三回 発生は不規則。6月・8月下旬〜9月に多く発生する(幼虫)

発生樹木:サルスベリ、ザクロなど。

形態:米粒大の白い袋状。

防除方法:被害が少ない時はヘラなどでこそぎ落とします。

被害が大きいときは、幼虫が発生した時にオルチオン乳剤を200倍、スミチオン乳剤などを1000倍に薄めたものを2〜3回液剤を変えて散布すると効果が上がる。

 

タケフクロカイガラムシ

発生時期:年二回 5月と7月(幼虫)

発生樹木:タケ類、ササ類。

形態:白く楕円形。スス病の併発が多い。

防除方法:幼虫の発生時期にスミチオン乳剤の1000倍に薄めた液を1〜2回散布。

ワタフキカイガラムシ類

イセリアカイガラムシ

発生時期:年二回〜三回 年間を通じて見られ、発生は不規則。6月、8月、10月に幼虫が多発しやすい。

発生樹木:カンキツ、トベラ、ナンテン、ヤツデ、モチノキなど。

形態:茶色に白色のコナ状のもので覆われる。成虫は楕円で尾端に白色の綿状の卵のうを持つ。

防除方法:幼虫が発生する時期を見計らって、オルチオン乳剤200倍、スミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを2〜3回散布する。異なった薬剤を順番に使うと良い。

成虫には薬剤が効きにくいので幼虫のうちに防除します。

天敵:ベダリアテントウ

 

オオワラジカイガラムシ

発生時期:年一回 4〜6月ごろ有脚の成虫が現れる。12月に幼虫が現れ越冬する。

発生樹木:カシ類、マテバシイ、モチノキ、ケヤキ、ヤツデ、カンキツ、もも、カキ等。

形態:体長1㎝で暗褐色。背面は白い粉で覆われており、最も大きなわらじ型。成虫は自由に歩行できる。

防除方法:見つけ次第捕殺。

成虫の発生する4月ごろと12月の幼虫発生期に、スミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを1〜2回散布する。

 

ツバキワタカイガラムシ

発生時期:年一回 6月(幼虫)

発生樹木:サカキ、ヒサカキ、モッコク、モチノキ、ツバキ、サザンカなど。

形態:雌の成虫は体長3.5〜4.5㎜で扁平で楕円形。淡黄色。卵のうは2㎝ほど。

防除方法:5〜6月に枝に真っ白な卵のうを見つけたらかき取ります。

幼虫の発生時期にはスミチオン乳剤、エルサンなどの乳剤を1000倍に薄めて1〜2回散布する。

 

イヌガヤワタカイガラムシ

発生時期:年一回 5中旬〜6月中旬(幼虫) 5月上旬〜6月上旬に卵のうを形成。

発生樹木:マンリョウ、カヤ、イヌガヤ、チャ、イチイ、マサキなど。

形態:雌の体長は4〜5㎜。黄褐色〜暗褐色。

防除方法:発生が少ない時は卵のうを除去する。

幼虫の発生時期にオルチオン乳剤200倍、スミチオン乳剤などを1000倍に薄めたものを散布する。

マルカイガラムシ類

ウメシロカイガラムシ

発生時期:年三回 5月、7月、9月(幼虫)

発生樹木:ウメ、サクラ、モモ、ヤナギ、モクセイ、ライラックなど。

形態:雌の体長は2〜2.5㎜。白色〜灰白色。
枝一面が真っ白になる程寄生し、枯れてしまうことがある。こうやく病を併発する。

防除方法:幼虫の発生時期に、スミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを散布する。

枝一面に発生した時は、短期間の防除は不可能で、最低でも2年かかる。

 

カキノキカキカイガラムシ

発生時期:不明

発生樹木:カナメモチ、ヤマモモ、カキ。

形態:雌の成虫は3㎜。背面は褐色〜淡褐色で周辺は淡灰色。

防除方法:幼虫が発生した時に、オルチオン200倍、スミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを10日おきに2〜3回散布する。

 

グミシロカイガラムシ

発生時期:不規則で不明。5〜6月(幼虫)

発生樹木:グミ類。

形態:体長2㎜、灰白色で円形。背面が隆起する。

防除方法:発生が少ない時はヘラなどでかき落とすか枝を切り取ります。

多発した時は、幼虫が発生する5〜6月にカルホス、スミチオン乳剤いずれかを1000倍に薄めたものを1〜2回散布する。

 

ササシロナガカイガラムシ

発生時期:年二回ほど。 成虫で越冬。

発生樹木:ササ類、マダケなど。

形態:雌の成虫の体長は2〜3㎜で灰白色。

防除方法:エルサン、スミチオン乳剤の1000倍に薄めたものを数回、寄生している葉裏にかかるように散布する。

 

ササヒメシロカイガラムシ

発生時期:年二回 5月(幼虫)

発生樹木:ササ類、タケ。

形態:雌の成虫の体長は1.5〜2㎜。円形で灰白色。

防除方法:幼虫発生時期にエルサン、スミチオン乳剤の1000倍に薄めたものを数回散布します。

 

ツバキクロホシカイガラムシ

発生時期:年二回 5月と7〜11月(幼虫)

発生樹木:ツバキ、サザンカ、ゲッケイジュ、ヒイラギ、サカキ、アラカシなど。

形態:雌は全体が黄褐色〜灰褐色で楕円形。雄は、小さく長楕円形です。

防除方法:被害にあったはを除去することと、通風をよくすることが被害を少なくさせます。

幼虫の発生時期に、オルチオン乳剤200倍、スミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを2回ほど散布する。

枯葉

マキアカマルカイガラムシ

発生時期:発生時期は不規則。 6月と8月に幼虫が孵化することが多い。

発生樹木:イヌマキ、カヤ、ナギ。

形態:赤褐色で円形。

防除方法:幼虫発生時期に、スミチオン乳剤のいずれかを1000倍に薄めたものを1〜2回散布する。

混み合った枝葉を切って、通風をよくすると発生が抑えられます。

 

マサキナガカイガラムシ

発生時期:年二回 5月上旬〜6月中旬 7月〜8月(幼虫)

発生樹木:マサキ、マユミ。

形態:雌の成虫は体長2㎜で赤褐色。雄は白色の綿状で細長い。多発するとこうやく病を併発し被害が拡大する。

防除方法:被害が大きいときは株ごと切除し、新芽の出るのを待つ。

幼虫の発生時期に、スミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを1〜2回散布します。

 

マツカキカイガラムシ

発生時期:年二回 5月〜6月 8〜9月(幼虫)

発生樹木:アカマツ、クロマツなど。

形態:細長く暗褐色。スス病を併発し被害が拡大する。

防除方法:孵化幼虫発生時期に、オルチオン乳剤200倍、スミチオン乳剤を1000倍に薄めたものを1〜2回散布します。2回目に使う薬剤は1回目と違うものを使うと効果が上がります。

 

ヤノネカイガラムシ

発生時期:年二回〜三回 5月〜6月 7月下旬〜8月(幼虫)

発生樹木:カンキツ類、カラタチ。

形態:茶色の先がとんがった矢の根状。

繁殖力が強く急速に増殖し樹を枯れさせてしまうほどの被害がでます

防除方法:幼虫の発生時期に、スミチオンの乳剤を1000倍に薄め1〜2回散布する。

12月〜1月の休眠期にマシン油乳剤を70倍に薄めたものを散布すると、越冬している成虫に効果がある。

天敵:ヤノネキイロコバチ

 

カイガラムシの駆除のわかりやすい動画がありました参考になると思いますよ。

[arve url=”https://youtu.be/ONXfYVgzbv4″ /]

カイガラムシの天敵

てんとう虫       

てんとう虫、寄生バチなどが天敵となります。

下記の虫を見かけたら、殺虫剤などの使用を控え様子を見ましょう。

 

  • ベダリアテントウ
    オーストラリアのてんとう虫の仲間でワタフキカイガラムシ、イセリアカイガラムシを食べます。

カイガラムシの天敵 ハチ

  • ルビーアカヤドリコバチ
    ルビーロウカイガラムシを捕食します。

 

  • ツノロウアカヤドリコバチ
    ツノロウカイガラムシを食べます。

 

  • ヤノネキイロコバチ
    ヤノネカイガラムシを捕食します。

 

カイガラムシまとめ

ガーデニングお手入れのイメージ

カイガラムシはとても種類が多くて、いろいろな樹に寄生し被害を与えることがわかりました。

対策として

  • 通風を良くする。
  • 日当たりの良いところで育てる。
  • 窒素肥料を与えすぎない。
  • 購入時に虫が付いていないかよく確認する。
  • 虫を見つけ次第、捕殺したりこすり落としたりする。甲羅を剥がすと粉が落ちる状態の時には卵なので、落とさないように集める。
  • 卵のう(数百匹の卵が入っている)はロウ状の綿で包まれており、薬剤が届かず効果がないので、ピンセットのようなもので取り除きます。
  • 薄暗いところを好むので、樹皮の隙間や枝の股になっているところの粗皮を削り落とす。
  • 寄生バチなどの天敵を殺さないように殺虫剤の使用に気をつける。
  • スミチオン乳剤、ベニカスプレー、カイガラムシエアゾールを散布。オルトラン粒剤をまいておく。この4つで防げます。
  • 冬の冬眠期にマシン油乳剤を塗っておく

 

幼虫発生期に駆除するのが一番効果があるようですね。

植物をよく観察して、見つけ次第、捕殺したり薬剤で防除しましょう。