紫陽花には、以下の3つのステップ
- 紫陽花の「挿し木」は6月~7月
- 挿し木してある程度根が張ってきたら「鉢上げ」
- その後の生長にあわせて「植え替え」
をおこなうのが一般的といわれています。
これらの時期を外したからと言って必ずしも失敗するとは限りません。
ですが、目の前の紫陽花の状態を無視して植え替えることは、失敗する可能性を高めてしまうことは確かです。
そんなことにならないために、今回は、
「あなたの感覚を大事にする失敗しない挿し木と植え替えの時期と方法」をご紹介します。
目次
挿し木~鉢上げ~植え替えの年間スケジュール
挿し木から翌年の植え替えまで、およそ1年間かかります。
それまでにおこなうのは下記の3点と水やりのみです。
①花が咲いたあとに「挿し木」・・・およそ6月~7月
花が咲いたあとの紫陽花から挿し木のための挿し穂を採ります。
挿し穂を1時間程度「水あげ」し、
湿らせておいた用土をいれた鉢に挿していきます。
その後の管理は半日蔭の場所で表土が乾いたらたっぷりと水やりします。
②挿し木して根が張ってきたころ(およそ1か月後)に「鉢上げ」
挿し穂から根が出てきて込み合い始める前に2.5号程度の駄温鉢に鉢上げをします。
秋口から冬にかけての寒くなるころなので、
なるべくなら室内や玄関先の直射日光の当たらない明るいところで保管します。
※室内での管理の場合、水のやりすぎの場合根腐れを起こしますので表土の乾き具合をよく観察しましょう。
③翌年新芽がひらき葉を展開したあとに「植え替え」・・・およそ5月から8月
あまり遅くなると紫陽花が植え替えによるストレスを受け、その年の花芽を形成しない可能性があるので、できればお早めに。
もしこの時期を逃しても落葉後、休眠期のおよそ12月~3月までの間にも植え替えは可能です。
紫陽花の植え替えをしてはいけない時期
具体的にいつなの?と思うでしょうが、
挿し木の植え替えを検討しているみなさんがお住まいの地域は寒冷地から暖地まで様々ですし、近頃は気候も例年のように安定しないといったこともめずらしくありません。
ですので、一般的に4月とか○月といった説明ではなく、
普段からよく観察をしておき、紫陽花が植え替えに最適な状態になったらおこなう。
といった「見た目の時期」でご紹介していきたいと思います。
①「葉が広がる」のは春先・・・およそ3月下旬から4月ごろ
休眠期が終わり新芽から葉が広がりはじめる春先は、
植物にとって最も繊細な時期で、
極端な話で水やり以外はなにもしてはいけません。
②「花芽ができる」のは花が咲いたあとの秋口・・・およそ9月から10月ごろ
この時期は、翌年の花を咲かせるために、枝先に花芽を形成する大事なときです。
可能であればこの時期の植え替えは紫陽花にとってもストレスとなるので避けたほうが良いでしょう。
しかし逆を言えば、この時期以外は植え替えができるともいえます。
基本的に紫陽花は(品種にもよりますが)、
北海道から沖縄まで育てることのできる対応力がある強い植物です。
植え替えの方法と用土・鉢の選び方
鉢上げした挿し木のはじめて植え替えは用土選びと鉢選びから始まります。
植え替え用土の種類
- 赤玉土
- 鹿沼土
- 培養土
基本的にはこれらを難しく配合する必要もなく、
どれかひとつを使用していただければ結構です。
個人的には「鹿沼土」が、排水性と通気性を確保できるうえ、水を含んでいるときと乾燥しているときの違いが土の色でわかりやすいのでおススメです。
「培養土」は安価で手に入りやすいものもありますが、室内で管理する場合に過湿状態になるとカビが生えやすいのであまりおススメできません。
植え替え用の鉢の種類
植え替えの鉢にもいろいろあります。
- ビニールポット
- プラスティック鉢
- 素焼き鉢
- 駄温鉢
- 朱温鉢 など
「ビニールポット」や「プラスティック鉢」は安価で手に入りやすいですが、紫陽花にとっては通気性が悪いので、できれば「素焼き鉢」や「駄温鉢」や「朱温鉢」を用意してください。(そんなに高価なものではありません)
「駄温鉢」はホームセンターや庭先でよく目にするレンガ色の鉢で、鉢上部に上塗り薬を塗布してあるものです。(「朱温鉢」は塗布していないもの)
「素焼き鉢」は「駄温鉢」や「朱温鉢」よりも低温で焼き上げたもので色がベージュに近い色です。
これらは排水性と通気性のバランスが良く紫陽花にうってつけの鉢です。
ただ、「素焼きの鉢」は通気性が良すぎるので、
個人的に「駄温鉢」の使用をおススメします。
鉢のサイズ早わかり!1号=3センチ
鉢のサイズってわかりにくいですよね。
インターネットで植物の苗なんかを買うときにも、○号ポットなんかの表示がしてあって、いまいちイメージできずに買わないことが多いです。
これを機会に鉢のサイズを覚えてみてください。
1号=3センチ
これはその鉢の上部開口部の直径が3センチということです。
- 3号ポットならば9センチの直径
- 3.5号なら10.5センチの直径
ということになります。
ちなみに紫陽花の挿し木から鉢上げするときは、だいたい2.5号の駄温鉢に、
鉢上げ苗から植え替えをするときは、ひと回り大きな3.5号~4号鉢に植え替えると良いでしょう。
紫陽花の毒について
ここで閑話休題。
意外と知っている方が少ない「紫陽花の毒性」について、
厚生労働所のホームページを調べてみました。
結論として・・・
紫陽花の毒性成分は、未だ明らかではない。
ということでした。
しかし、2008年に料理の飾り用に添えられた紫陽花を食べてしまった10数名が、嘔吐やめまいなどの症状を訴えたという事件が報告されています。
紫陽花には「青酸配糖体」と「アルカノイド」が含まれており、それらが胃の中で分解酵素と反応して「シアン(青酸)」を生成するということで、その毒性が話題となっています。
それに関しても厚生労働省の調査では、
紫陽花の品種によって有毒成分の検出に差があり、
一概に紫陽花に毒があるとは言えないという見解のようです。
ただ、「明らかではない」と公表している通り、いまだ調査中なのです。
紫陽花の食害も頻発していることもなく、
死亡事故も報告されることも無いようです。
ですが、念のため紫陽花を食べるのは控えたほうがよさそうですね。
紫陽花の毒については、こちらの記事でまとめています。
⇒ 紫陽花が毒性って本当?触っても平気?気になる疑問を調査!
まとめ:紫陽花の植え替え時期と方法
紫陽花の植え替えの難易度は、植え替えの時期さえ注意すれば誰でも簡単にできます。
しかし、紫陽花は積雪にも耐えるほど寒さにはかなり強いですが、乾燥した寒風には弱く枯れてしまう可能性もあります。
かえって雪が積もる地域のほうが紫陽花にも過ごしやすいそうです。
もしあなたのお住まいの地域が積雪はないにしろ、木枯らしが吹くようなところであれば防風の対策の必要があるかもしれません。
それだけ乾燥には弱いということなので、鉢植えの際は水切れだけは注意してください。
それでは紫陽花の挿し木について、これまでの話を整理します。
- 8月までに挿し木の準備をする。
- 挿し穂から根が出る1か月後くらいに鹿沼土を入れた2.5号の駄温鉢に鉢上げする。
- 春が来て挿し穂から出た新芽が十分に展開したのを確認して、ひと回り大きな3.5号の駄温鉢に植え替えをする。※ここまでの管理はすべて直射日光の当たらない半日蔭でおこなう。
- 挿し穂の状態により植え替えた年に花が咲くこともあるが、その年は水切れに注意して見守る。
- 植え替えて初めての休眠期(落葉後12月~3月)にさらに大きな4.5~5号の鉢に植え替えても良い。
- その後、1年に1回休眠期にひと回り大きな鉢に植え替える、または庭植えする。
これさえおさえておけば失敗することもなく、
あなたのご自宅でも元気な紫陽花が花開くことでしょう。
ぜひ挑戦してみてください。