梅といっても実のなる「実梅」、花を愛でる「花梅」と大別されます。
品種や種類も沢山ありますので全部はご紹介できないですが、
その中から選りすぐりのものを取り上げてみたいとおもいます。
梅の見分け方のコツも調べてみました。
目次
梅の花はどんな花?
バラ科
和名:ウメ
学名:Prunus mume Sieb. et Zucc.
英名:Japanese apricot,Japanese flowering apricot
サクラ亜科→サクラ属→スモモ亜属
スモモ亜属には梅の他にアンズとスモモがあります。
梅の分類
分類に於いては、梅とアンズの交雑性を基礎としています。
梅とアンズは開花期が近いため、自然交配しやすくアンズの遺伝子を持ったものが多くあるため。
梅の分類は色々あるので少しまとめてみます。
小川安村の分類
「性」分類を基にし、4性ないし、3系9性に分けている。
4性分類
- 野梅性(やばいしょう):野梅性、紅筆性、難波性、青軸性
- 豊後性
- 杏性
- 紅梅性
3系9性
- 野梅系:野梅性、紅筆性、難波性、青軸性
- 豊後系:豊後性、杏性
- 緋梅系:紅梅性、緋梅性、唐梅性
性の特徴を詳しくみてみる
野梅系(原種に近い)
- 野梅性
枝は細く密生。短い枝はトゲ状になることがある。
葉の特徴としては、小さく軟毛が少しある。
花は中輪で白い。 - 紅筆性
枝、葉は野梅性と同じ。
花は蕾の先端、花弁の先が帯紅色となる。 - 難波性
枝は野梅性と同じ。葉は似ているが少し丸みを帯びている。
花色は白。 - 青軸性
枝は野梅性よりも太い。若い枝は直射日光を浴びても赤くならず緑色のまま。
萼が緑色。花色は青白色。
豊後系(杏との雑種とされる)
- 豊後性
枝は太く疎生。葉は大きい丸葉に毛がある。
花は大輪の淡紅色。
杏との雑種と推定されている。 - 杏性
枝は豊後性とにているがやや細めで灰褐色。葉には毛がない。秋に紅葉する。
花は中輪の淡紅色。遅咲きのものが多い。
杏との雑種と推定される。
緋梅系(多くのものが紅い花を咲かせる)
- 紅梅性
枝は細く髄部は紅色。
若枝の日焼けは軽く緑褐色となる。
葉は野梅性に似ていて葉柄が濃紅色となる。
花は明るい紅色。 - 緋梅性
枝は紅梅性と同じ。
枝の日焼けが暗褐色となる。
花色は濃紅色。 - 唐梅性
枝は紅梅性と同じ。
花色は薄く時間とともに退色する。花弁の脈がはっきりとしている。
花がうなだれたように咲く。
梅の種類・品種一覧
現在、実梅と花梅をあわせて300種ほどあるとされています。
野梅系
野梅性(一重咲き)
- 初雁(はつかり)
12月中旬より咲き始める極早咲き。
花は極小輪。 - 白鷹(はくたか)
1月中旬から2月下旬に咲く早咲き。
大輪の白花。 - 米良(めら)
1月中旬から2月下旬に咲く。
極小輪の白花。 - 見知辺(みちしるべ)
1月中旬から2月下旬に咲く強健種。
大輪の花は咲き始めは紅色で徐々に紫紅色に変化する。 - 冬至(とうじ)
12月下旬から2月中旬まで咲く。
中輪の白い花。
冬至の頃に咲くのでこの名前がついた。 - 通い小町(かよいこまち)
1月中旬から2月中旬まで咲く強健種。
中輪で薄桃色の花。 - 紅冬至(こうとうじ)
12月下旬から2月中旬に咲く。
中輪で薄紅色の花。花付きの良い品種。 - 日月(じつげつ)
1月下旬から3月上旬に咲く。
中輪の紅白絞りの花。 - 一重寒紅(ひとえかんこう)
12月下旬から2月下旬に咲く。
小輪で桃色の花。盆栽向きの梅。 - 流芳(りゅうほう)
2月上旬から3月中旬まで咲く強健種。
大輪の白花。 - 黄金梅(おうごんばい)
1月中旬から2月中旬まで咲く。
極小輪の花は、咲き始めは黄色だが咲き進み満開の頃には白い花になる。
野梅性(八重咲き)
- 八重野梅(やえやばい)
12月中旬から1月中旬に咲く極早咲き。
中輪の花は、濃紅色で花弁は波打ち、花糸は淡紅色。 - 月宮殿(げっきゅうでん)
2月上旬から3月中旬に咲く。
大輪の乳白色の花。 - 玉牡丹(たまぼたん)
2月上旬から3月中旬に咲く。鉢植え、盆栽向き。
大輪の薄い黄色の花。 - 柳川絞り(やながわしぼり)
2月上旬から3月中旬に咲く。
中輪の花は赤と白に咲き分ける。 - 花座論(はなざろん)
2月上旬から3月中旬に咲く。
中輪の白い花は花弁が波打つ。 - 水心境(すいしんきょう)
2月上旬から3月中旬に咲く。
大輪の花は、咲き始めは黄白色で咲き進むと白色になる。 - 県驚(けんきょう)
2月上旬から3月中旬に咲く。
大輪の花は咲き始めは淡紅色で白に変化する。 - 輪違い(りんちがい)(別名:思いのまま)
2月中旬から3がつ中旬に咲く強健種。
中輪の花は淡紅色、爪紅、絞り、白に咲き分ける。 - 香篆(こうてん)(別名:雲龍梅)
1月上旬から2月中旬に咲く。
中輪の花は白色。 - 都錦(みやこにしき)
1月中旬から2月中旬に咲く。
中大輪の花は淡紅色で花弁は波打つ。
紅筆性(べにふでしょう)
- 内裏(だいり)
2月上旬から3月中旬に咲く。
大輪の花は淡紅色。三重の花弁は絞りになる。 - 古金欄(こきんらん)
2月上旬から3月中旬に咲く。
中輪の花は桃色。 - 八重海棠(やえかいどう)
2月上旬から3月中旬に咲く。
中輪の花は、淡紅色。三重の花弁は大きく波打ち半開。
難波性(なんばしょう)
- 故郷の錦(こきょうのにしき)
1月中旬から2月上旬に咲く。
中輪の花は、淡桃色の抱え咲き。三重の花弁はやや波うつ。 - 御所紅(ごしょべに)
2月上旬から3月中旬に咲く。
中輪の花は桃色で、抱え咲き。
青軸性(あおじくしょう)
- 月影(つきかげ)
1月中旬から2月下旬に咲く。
中輪の花は、清白色。 - 金獅子(きんじし)
1月中旬から2月上旬に咲く。
小輪の花は、白色。
豊後系
豊後性(一重咲き)
- 勞謙(ろうけん)
2月上旬から3月中旬に咲く。
大輪の花は白色。わずかに抱え咲き。 - 巻立山(まきたつやま)
2月中旬から3月中旬に咲く。
中輪の花は白色。花弁は細く波打つ抱え咲き。 - 豊後(ぶんご)
3月上旬から3月中旬に咲く。
大輪で八重咲きもある。花付きが良い。
豊後性(八重咲き)
- 楊貴妃(ようきひ)
2月下旬から3月下旬に咲く。
大輪の花は淡紅色。花弁は波打つ。
杏性(あんずしょう)
- 江南所無(こうなんしょむ)
3月中旬から4月の上旬に咲く。
大輪の花は紅色。抱え咲き。
緋梅系
紅梅性(一重咲き)
- 佐橋紅(さばしこう)
2月上旬から3月中旬に咲く強健種。
中輪の花は紅色。花柄は長い。 - 紅鶴(べにづる)
1月中旬から2月上旬に咲く。
大輪の花は紅色。 - 紅千鳥(べにちどり)
2月中旬から3月中旬に咲く。
花は明るい赤色。 - 森の関(もりのせき)
2月上旬から3月中旬に咲く。
中大輪の花は淡紅色。 - 大盃(おおさかずき)
1月中旬から2月下旬に咲く強健種。
抱え咲きでしべが長いのが特徴的。 - 緋梅(ひばい)
1月中旬から2がつ上旬に咲く。
小輪の花は紅色。しべは長くて紅。盆栽向き。
緋梅性(八重咲き)
- 鴛鴦(えんおう)
1月中旬から2月下旬に咲く強健種。
中大輪の花は紅色。花弁に赤い筋が入る。 - 蘇芳梅(すおうばい)
2月上旬から3月中旬に咲く。
中輪の花は紅色で端正。 - 光輝(こうき)
2月上旬から3月中旬に咲く。
中輪の三重の花。内側の花弁がよじれる。 - 黒雲(くろくも)
2月上旬から3月中旬に咲く。
中輪の花は4重花で花弁は波打つ。 - 鹿児島紅(かごしまべに)
2月上旬から3月中旬に咲く。
三重の中輪花で濃紅色。しべは赤色。 - 錦光(きんこう)
1月中旬から2月の中旬に咲く。
中輪の花は抱え咲きで紅色。 - 五節の舞(ごせちのまい)
2月上旬から3月中旬に咲く。
三重の中輪花。紅色の花でしべは淡紅色。 - 八重唐梅(やえとうばい)
1月中旬から2月上旬に咲く。
中輪の花は紅色、花弁に赤い筋が入る。垂れるように下向きに咲く。
実梅の品種
- 南高(なんこう)
2月上旬から3月中旬に咲く。
一重の白色の大輪の花。
花粉は多いが自家不結実性。熟期は6月中旬から下旬。 - 月世界(月世界)
2月上旬から3月中旬に咲く。
一重の大輪の花。
花粉が多いが自家不結実性。熟期は6月中旬。 - 鶯宿(おうしゅく)
2月上旬から3月中旬に咲く。
一重の大輪の花。
花粉が多くやや自家結実性。熟期は6月中旬から下旬。果実は大きい。 - 長束(なつか)
2月上旬から3月中旬に咲く。
一重の大輪の花。
花粉多く自家結実性。樹勢は比較的に強い。熟期は6月中旬から。果実は大きい。 - 白加賀(しろかが)
2月上旬から3月中旬に咲く。
大輪の一重の花。
花粉は少ない。自家不結実性。熟期は6月中旬から下旬。果実大きい。 - 花香実(はなかみ)
2月上旬から3月中旬に咲く。
八重の中輪の花。
花粉が多く自家結実性は比較的強い品種。熟期は6月中旬。果実は中くらい。 - 甲州最小(こうしゅうさいしょう)
2月上旬から3月中旬に咲く。
一重の小さな花。
花粉が多くやや自家結実性。熟期は6月上旬。果実は小さい。
梅の別名
- 風待草(かぜまちぐさ)
- 春告草(はるつげぐさ)
- 好文木 (こうぶんぼく)
- 花の兄(はなのあに)
- 木の花(このはな)
- 初名草(はつなぐさ)
- 香散見草(かざみぐさ)
- 匂草(においぐさ)
梅・桃・桜の見分け方のコツ
簡単な梅、桜、桃の花の見分け方
花弁で見分ける
梅は花弁が丸いのが多いです。
桜は先が割れています。
桃の花。梅より少し先が尖った感じ。
幹で見分ける
梅の古い幹は表面がザラザラしてゴツゴツしている。
桜は、幹にヨコシマ模様がある。
桃は、幹に斑点模様がある。
梅の種類のまとめ
梅の種類はたくさんありましたね。
今回ご紹介したのはほんの一部です。
早春から咲き始めるものや遅咲きのものなどがあるので、
2〜3本植えるのであれば、八重咲き、実梅など少しずつ花が咲く時期をずらすようにして、
植えるといいかもしれませんね。
花も実も楽しめるのは「実梅」。
花梅ほど華やかではないですが、収穫の楽しみがあるのがいいですね。
実梅は自家不結実性という同一の品種の花粉では結実しないものがありますので、
開花期が同じ時期で花粉の多い品種を近くに植えると良いですね。
気に入った梅の花を見つけてくださいね。