初夏に爽やかな香りを放ちながら咲き誇るラベンダー。
凛とした花姿はもちろん、リースやポプリなどに活用できることから育てている人、育てたい人が増加中です。
ラベンダーの増やし方は挿し木と種まき、2つの方法がありますがたくさんの株を育てたいなら種まきが一番!
失敗しないラベンダーの種まきを詳しく解説していきます。
目次
ラベンダー基礎知識
ラベンダーはハーブの一種で多年草に分類されます。
多年草とは一度植えると数年にわたって花を咲かせてくれるもののことです。
その品のいい香りから香水や石けん、柔軟剤など
わたしたちの生活のそばに多く利用されています。
品種で差がある?種まきに最適な時期
ラベンダーは大きく分けて5つの系統に分けられます。
・アングスティフォリア系
・ラバンディン系
・ストエカス系
・プテロストエカス系
・デンタータ系
の5つです。
詳しくは「ラベンダーの種類の見分け方と特徴!写真で品種別にまとめ!」
でご紹介していますので参考にしてくださいね。
系統によって種まきの方法、時期を変える必要はありませんが発芽後の管理、
株が大きくなってきてからの管理は注意する点が異なります。
それぞれの管理方法はのちほど詳しく解説します。
種まきの時期
種まきの時期は3月~4月と9月~10月の年2回です。
気温が20℃前後になるころがいいと言われています。
苗が育つには15℃~25℃が適温といわれているので春と秋が適しています。
寒さが厳しい地域や温暖な地域では、多少のずれがあるかもしれませんがこの気温を覚えていれば失敗することなく種まきができますよ。
種まきの前に大事なひと手間
さあ種まき!と、いきなり種を袋から出して土にまこうとしていませんか?
残念ながら、これではうまく発芽しません。
ではどうすればいいのでしょうか。
それは……
『冷蔵庫の中で2週間以上種を寝かせる』
ということ。
実はラベンダーの種、冬の寒さを経験しなくては発芽しません。
ですから冷蔵庫の中で冬を疑似体験させる必要があるのです。
まずは種を寝かせる時期を頭に入れて種まきの日を決めてくださいね。
育てたラベンダーから種を採るなら
1、直射日光が当たらない、風通しのいい場所に花を下にして10日間ほど乾燥させます。
2、花を触って完全に乾燥していることを確かめてから花を摘み取ります。
3、白い紙の上などで花をつぶすようにもみほぐします。
4、茶色や黒の小さな粒が出てきますが、それが種です。
小さいので落とさないように注意してくださいね。
失敗知らずの種まき方法
ラベンダーの種まきに特別な技術は必要ありませんが、いくつか行ったほうがいいポイントがありますのでご紹介します。
用意するもの
・種まき用のまき床
専用のセルトレーもありますが小さな鉢、穴をあけたプラスチック容器など水が抜けるものならば何でもOKです。あまり深くないほうが管理しやすいですよ。
【おすすめ】
スーパーで売っている卵のプラスチックケースが使えること、ご存知でしたか?
上下を完全に分け、卵の入っていたくぼみに穴をあければ即席セルトレーの出来上がりです。
ラベンダーは本葉が2,3枚になると移植するので種まきの時は卵ケースでも十分です。
・種まき用の土
ピートモス、バーミキュライト、または種まき専用の土など。
肥料など入っていないものを使用します。
発芽に栄養分は必要なく、また発芽したての根には強すぎることもあるので肥料が入っていないものを選びましょう。
・発芽促進剤
ジベレリン溶液など。種を浸して使用します。
必ず必要ではありませんが、発芽率をあげたいときには使ってみてください。
種まきの方法
1、2週間以上冷蔵庫で寝かせておいた種を、3日間水につける
発芽促進剤を使いたいときは、ここで薬剤の規定通りに希釈して(ラベルや説明書に記載されています)溶かします。
水に浮いたままの種は発芽しませんので、捨ててください。
2、まき床に土を容器の6割ほど入れて、たっぷりと水を含ませる
ラベンダーの種はとても小さく、まいたあとにたっぷり水やりすると、あふれた水と一緒に流れてしまうことがあります。
先にしっかり土を湿らせておくことが大切です。
3、種をまく
セルトレーや卵ケースにまく場合は、ひとつの部屋に2,3粒ずつまけば安心です。
種がうっすら隠れる程度に上から新しい土を乗せ、霧吹きなどで優しく水を含ませます。
4、発芽まで土が乾燥しないように管理する
ラベンダーの種の発芽目安は2週間前後。
その間は土が乾かないように注意してください。
また、勢いよく水やりをすると種が流れていくので慎重に行います。
発芽するまでは半日陰(午前中日がさす場所)や、直射日光の当たらない明るい日陰で管理します。
風が強い場所も避けます。
芽が出たばかりの幼苗が倒れてしまうからです。
【おすすめ】
心配な場合はトレーや鉢の底に受け皿を置き、そこに水をはっておけば水枯れや、種が流れる心配もありません。土がしっかり湿ったら受け皿の水は捨てるだけですので一度お試しあれ。
発芽してからが勝負!本葉が生えるまで
かわいい芽が出たら管理の仕方を少し変えます。
【水やり】
本葉が出るまでは乾燥しないように毎日土の状態を観察しますが、発芽のする前ほど気を使わなくても大丈夫です。
ですが乾燥のしずぎには注意してください。
発芽したばかりの芽はすぐに枯れてしまいます。
目安は土を押してみてしっとりと水がにじみ出てくる状態です。
【苗の選別】
色の薄い芽やひょろひょろと細くて間延びした苗は引き抜きます。
倒れかかっている苗も間引いてください。
元気な葉をした茎の太い、しっかりした芽を残すようにしましょう。
【置き場所】
直射日光と強い風を避けた半日陰の場所に移します。
小さな芽ですが光合成は始めています。
柔らかな日光があたる場所がベストです。
本葉が増えたら一安心!幼苗の管理
本葉が出てきて4,5枚になったら一安心です。
ホームセンターや園芸店で苗が入っているポットや、小さな鉢に植え替えができます。
このとき肥料入りの培養土を使って植え替えをすれば、追肥は必要ありませんので初心者や肥料選びに迷う場合は培養土の使用をおすすめします。
【植え替え方】
1、ポットに土を8割くらい入れる
2、割りばしなどで3~4㎝ほどの深さの穴を掘る
根の周りについた土ごと植え替える場合は、もう少し大きめの穴にしてください。
3、幼苗をそっと差し込み、穴を埋めるように周りの土を固める
苗はまだまだ弱く折れやすいので、ピンセットなどで1本1本丁寧に植え替えましょう。
【水やり】
本葉が4、5枚になってポットなどに植え替えが完了したら水をたっぷりと与えてください。
植え替え後2週間ほどは、あまり乾燥しないようにこまめに水やりをします。
しかし、このあとの過湿は厳禁です。
土が完全に乾いてから水をたっぷり与えるようにします。
ラベンダーは基本的に乾燥を好む植物です。
苗がしっかりしてきたら日当たりと風通しがいい場所で管理します。
【ポイント】
春まきの場合、強い日光と高温な夏は幼苗にはとても過酷。
1年目の幼苗は夏の間、風通しがよく涼しい半日陰で管理するのが安心です。
発芽から開花まで
ラベンダーは種まきから開花まで2,3年かかると言われています。
1年目につぼみが付いた場合でも、摘み取るようにします。
ラベンダーに限らず花は開花するときに、ものすごく大量のエネルギーを消費します。
花が終わった後に肥料を与えるのは、疲れた株が枯れないように養分を吸収させるためです。
幼苗が花をつけてしまうと、疲れから回復できずに生長が遅くなったり最悪の場合枯れてしまいます。
花を見たい気持ちをぐっとこらえて、つぼみを摘み取ってください。
早く開花させたいのなら挿し木がおすすめですが、種から丹精込めて育てたラベンダーが大きく育ち、開花したときの感動はひとしおです。
種まきなら一度に多くの苗を育てることができるので、憧れの一面ラベンダーの花壇を作ることも夢ではありません。
あなたの暮らしがラベンダーの香りに包まれた豊かなものになるよう、応援しています。