夏にちりめん状のフリルのような花を咲かせる百日紅。
風にふわふわと揺れている姿はとても可愛いですよね。
耐病性もあり、育てやすい百日紅なのですが、かかりやすい病気や害虫の対策をまとめました。
目次
百日紅がかかりやすい病気
うどん粉病
湿度が低く、乾燥気味の時に発生しやすい。
症状
- 葉や花に白い斑点が生じ、次第に葉全体に小麦粉をまぶしたように白いカビが発生します。
- 新葉や蕾に発生すると、生育が止まってしまったり、葉がねじれたりします。
発生時期
- 4月〜10月ごろ。特に5月〜7月に多発します。
対策
- 発生初期にモレスタン水和剤を3000倍に薄めて散布。3回まで。
- 冬に石灰硫黄合剤をまくと良い。
- 肥料は窒素肥料を少なくし、カリウムを多めに施肥する。
褐斑病(かっぱんびょう)
症状
- 葉に褐色や灰白色の多角形の病斑が見られます。
- 糸状菌というカビによって起こります。
- 葉色が黄色→紅色→橙色へと変化し最後には落葉してしまいます。
発生時期
- 初夏〜秋にかけて発生。
- 特に初夏の多湿な環境で多発します。
対策
- 病斑のできた葉は手で摘み取り焼却処分する。
- 被害が大きいときは、ダニコール1000やベンレート水和剤、
胴水和剤などの殺菌剤を1週間ごとに散布する。 - 病斑が全体に広がってしまったら、他の株に広がらないように株ごと抜き取り焼却処分にしましょう。
病気にかからないための対策は?
- 日当たりと風通しの良いところに植え付けると、病気にかかりにくくなります。
- また、落ち葉をこまめに集めて焼却したり、土に深く埋めます。
- 葉がいつも湿っていると発病しやすくなるので、葉っぱに水をかけないようにしましょう。
百日紅が侵されやすい害虫
サルスベリフクロカイガラムシ
虫の形状
- 体長1〜3㎜の俵状の虫。元々は赤紫色ですが、白い分泌液で体が覆われています。
発生時期
- 一年中みられる。
- 幼虫は5月〜7月ごろあらわれる。
被害
- 枝や幹に集団で寄生し吸汁し、生育を阻害する。被害が進むと枯れ死することもある。
- 百日紅フクロカイガラムシが出す排泄物により、すす病を誘発する。
対策
- 歯ブラシなどでこすり落とす。
- 被害を受けた枝を切り取る。
- 5月〜7月に発生した幼虫は薬剤に弱いので発生したときは、スミチオンを1000倍、
ダイセン乳剤を1000倍、オルトラン水和剤を薄めたものを散布するとよい。
予防策として何をすれば良い?
- 予防として、落葉期に石灰硫黄剤を10倍に薄めたものを散布。
- 枝が混み合って風通しが悪くなると発生しやすいので適宜剪定し風通しを良くする。
サルスベリヒゲマダラアブラムシ
虫の形状
- 体長1〜1.5㎜の淡黄色の虫。
発生時期
- 3月〜10月。特に4月〜6月と9月〜10月に多発します。
被害
- 新芽や葉、花弁、茎、枝などに群棲し、吸汁することで生育を阻害します。
- アブラムシの排泄物を養分にして糸状菌が発生。すす病を誘発します。
- アブラムシが吸汁するときに、ウイルスや細菌を媒介。ウイルス病や細菌病にかかることがある。
対策
- 発生初期に見つけ次第補殺する。
- 天気の良い日に、牛乳を薄めずそのまま霧吹きでアブラムシのいるところへ吹き付ける。
牛乳が乾いて虫が窒息死したら、牛乳を綺麗に洗い流します。 - 木酢液を300〜1000倍に薄めたものを散布する。防虫予防にもなるので一石二鳥です。
- 天敵のナナホシテントウムシに食べてもらう。
- 薬剤はスミチオン乳剤を1000〜1500倍に薄めたものを散布する。
予防として何をすれば良い?
- 梅雨明けした頃に被害が出やすいので、それまでに防除すると良い。
- アブラムシはキラキラするものを嫌うので、アルミホイルなどを株元に敷く。
- アブラムシは黄色い色に引き寄せされる性質があるので、黄色の粘着テープを下げておく。
ギンスジオオマドカ
虫の形状
- 幼虫は体長4㎝。淡褐色。
- 成虫は透き通ったような蛾。
発生時期
- 6月から10月
- 成虫は6月から7月ごろ。年に一回の発生。
被害
- 幼虫が小枝に入り枝を食害。枝に小さな丸い孔が点々とあいている。
枝枯れしているものには幼虫がいる可能性が高い。
対策
- 枝にあいた孔から糞が出ていたら枝を切り取り焼却するか、土深く埋める。
- 被害を受けた枝を切り開いて幼虫を補殺。
- 切り取った枝の傷にはカルスメイトなどを塗っておく。
予防として何をすれば良い?
- 特にないので、見つけ次第補殺する。
ヒメクロオトシグミ
虫の形状
- 虫の体長5㎜。黒色の体に足が橙色の甲虫。
- 成虫で越冬する。
発生時期
- 4月〜6月ごろ。
被害
- 葉を食害。
- 葉を巻いて俵状にしぶら下がっている。(ゆりかごと呼ばれる)
その中に卵が一つから複数個入っている。
対策
- 成虫は見つけ次第補殺する。
- 多発したときは、発生初期にスミチオン1000倍に薄めて散布。6回まで。
- オルトラン乳剤250〜500倍に薄めたものを散布。6回まで。
薬剤は同一のものを連続使用するよりも、違うものを散布する方が効果が高い。
予防として何をすれば良い?
- ゆりかごを見つけ次第除去する。
百日紅が病気以外で枯れる原因とは?
東北より西の地方ではまず寒さで枯れることはなさそうですが、
耐寒性のあまりない百日紅の場合、寒さにより枯れることがあります。
日照り続きで水不足のため木が弱り枯れることもあります。
植えつけて間がなく、根が充分に回っていない場合は水やりをしっかりしましょう。
鉢植えは、表面が乾いていたらたっぷりと水やりをしましょう。
鉢植えの場合、根詰まりを起こしているかもしれません。
2年に一度、もしくは根が回ってきたと思われたら、
3月〜4月もしくは10月〜11月ごろに植え替えをしましょう。
百日紅の病気・害虫のまとめ
百日紅は比較的耐病性もあり、育てやすい樹木です。
風通しのよい日当たりに植えることができれば病気にもかかりにくくなります。
病気や害虫は初期に退治することが肝心ですので、よく樹木を観察しましょう。
見つけ次第、対策をとることで被害が少なくなります。
夏の花の少なくなる間、可愛らしい百日紅のお花を楽しむことができるといいですね。